「牧者のふところ」

  「主は牧者のようにその群れを養い、そのかいなに小羊を抱き、そのふところに入れて携えゆき、乳を飲ませているものをやさしく導かれる。」(イザヤ40:11)

 真の牧者は、自分の助けを最も必要としている羊、すなわち、傷ついたり、足を引きずっていたり、弱っているものを知り、あわれみ、助けられる。「主は牧者のようにその群れを養」われる。
 父祖ヤコブが、自分の羊のうちの、弱いものや苦しんでいるもの、また体が不自由なものを知っていたよりも、もっとはるかに詳しく、大牧者はご自分の群れを知っておられる。主は、他のだれもが知らないことを知っておられる。主はあらゆる重荷をご自身で負われた。だれも主ご自身が負われたような重荷を知らない。なぜなら、主は、私達の苦悩をすべて負われ、私達の悲しみをすべて担われたからである。それが主を悲しみの人で、病を知る人にさせたのである。…
 この宇宙であなたを顧みてくれる人が他にいなくても、イスラエルの主なる神は、同情と、やさしさと、思いやりに満ちたみ心であなたを見ておられる。主はあなたが、気落ちし、失望した時も、そのあなたの強い衝動で、あなたを見られる。一あなたは、大牧者のふところに最も深い、最も富んだ、最も生き生きとした思いやりを持っている。私達の持っている大祭司は私達の弱さを思いやることのできないような方ではない。罪は犯されなかったが、すべてのことについて私達と同じ様に試練に会われた方なのである。…
 あなたが助けと、力と、恵みを必要とするような、試練や、誘惑にあった時、必要な備えがなされたばかりではなく、また、他の人の心に対するあなたの感化がよい香りとなるためにも必要な備えはなされてきた。キリストは、すべての魂を知っておられ、その魂の誘惑や、試みをも知っておられるだけでなく、心をいらだたせ、悩ます環境をすべて知っておられる。あなたにとって最大の危険は、うぬぼれが強いときである。これはクリスチャンのなすべきことではない。キリストは、あなたが求めるなら、ご自分の忍耐力をあなたに下さるであろう。
 神のあふれるばかりの愛とご臨在は、自己統御の力をあなたに与えられる。主はあなたの心と品性を鍛え、形造られる。主は道徳的、霊的力をあなたに与える水路となるあなたの目標と、目的と能力を導かれる。それはあなたが、この世界に残してはならない、つまり、永遠にあなたが保持し、携えていくことのできるものである。(letter46.1898)

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