「父から子に手渡される偉大な真理」

 「王は[ヨセフを]その家のつかさとしてその所有をことごとくつかさどらせ、その心のままに君たちを教えさせ、長老たちに知恵を授けさせた。」(詩篇105:21, 22)


 ヨセフは、少年時代に、神を愛しおそれることを教えられた。シリヤの星空のもとに張られた天幕の中で、彼は父のヤコブから、ベテルの夜の異象、天と地の間にかけられたはしごやそれを上り降りしていた天使たちや天のみ座からご自身をヤコブに表わした神についての物語をきかされた。父がヤボクの河畔で格闘したあげく、心の中に宿っていた罪を絶ったときに勝利者となり、「神と共なる君」という称号をうけた物語もきかされた。
 羊飼いの少年として、父の羊の群れの見張りをしていたヨセフの純朴な生活は、彼に体力と知力の発達をもたらした。ヨセフは、自然を通して神と交わり、聖なる委託物として父から子へ伝えられたとうとい真理を学んで、堅実な精神と確固たる原則を身につけた。
 ヨセフが、人生の危機に面したとき、すなわち子供時代をすごしたカナンのわが家から、奴隷の運命が待ちうけているエジプトへの恐ろしい旅の途中に、肉親の住む天幕のかくれた山々を見納めたときに、かれは父ヤコブの神を心に覚えていた。少年時代の教訓を思い出し、真実な人間になって、どんなときにも天の王の臣下としてふさわしい行動をとらなければならないと決心したときに彼の魂は感動した。
 他国人としてまた奴隷としてのつらい生活の中にあっても、見るもの聞くもののすべてが悪徳と偶像礼拝、――人の心をひきつけないではおかない富と文化と王室の盛観にかこまれた礼拝の誘惑のさなかにあっても、ヨセフは動揺しなかった。彼は、義務に服従するという教訓を学んでいた。最も低い境遇から最も高い身分にいたるまでどんな立場にも忠実であることによって、あらゆる能力が最高の奉仕のために訓練された。
 ヨセフがパロの宮殿に召された当時のエジプトは、世界で最もすぐれた国家であった。文化に芸術に、学問に、エジプトは比類のない存在であった。最も困難な、そして危険な時期に、ヨセフはこの王国の政務をとり、しかも彼の施政は、王国と人民の信頼をかち得た。パロは彼を「その家のつかさとしてその所有をことごとくつかさどらせ、その心のままに君たちを教えさせ、長老たちに知恵を授けさせた」とある。……
 神への忠誠、目に見えない神への信仰が、ヨセフの錨であった。ここに彼の能力がかくされていた。
 「かれの手の力は、ヤコブの神の大いなるみ手によって強くされた。」……
 ヨセフとダニエルは、……幼いころにしつけられた原則にそむかず、自分の代表している神に忠実であることを立証した。(教育48~53)


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