ダニエル書講解11 「ダニエルの上奏」


  「アリオクは急いでダニエルを王の前に連れて行き、王にこう言った、『ユダから捕え移した者の中に、その解き明かしを王にお知らせすることのできる、ひとりの人を見つけました』。王は答えて、ベルテシャザルという名のダニエルに言った、『あなたはわたしが見た夢と、その解き明かしとをわたしに知らせることができるのか』。ダニエルは王に答えて言った、『王が求められる秘密は、知者、法術士、博士、占い師など、これを王に示すことはできません。しかし秘密をあらわすひとりの神が天におられます。彼は後の日に起るべき事を、ネブカデネザル王に知らされたのです。あなたの夢と、あなたが床にあって見た脳中の幻はこれです。』ダニエル2:25〜28
 ダニエルが王の前に行った時に、王は、「あなたは私が見た夢と、解き明かしとをわたしに知らせることができるのか。」と疑いをさしはさんで挨拶をした。王は以前からダニエルを知っていたにもかかわらず、いつもは尊敬していた魔術師たちや、博士たちでさえ失敗した事件を、若輩者であり、また無経験なダニエルが解き明かしをすることができるであろうかと彼の力量を危ぶんだのである。ダニエルは明らかに、「この秘密は知者、法術士、博士、占い師など、これを王に示すことはできません」と宣言した。同時にこれは彼等の能力の及ばないことであるので、王は彼等に対して怒るべきでなく、また無力な迷信を信頼すべきでもないと言った。その後彼は、天にいます全てを支配なさる唯一の真の神を紹介した。そしてダニエルはこの神がネブカデネザル王に、後の日に起こるであろうことがどんなことかを示してくださるのですと言った。
 「王よ、あなたが床におられたとき、この後どんな事があろうかと、思いまわされたが、秘密をあらわされるかたが、将来どんな事が起るかを、あなたに知らされたのです。この秘密をわたしにあらわされたのは、すべての生ける者にまさって、わたしに知恵があるためではなく、ただその解き明かしを、王にお知らせすることによって、あなたが心に思われたことを、お知りになるためです。」ダニエル2:29、30

 ここにネブカデネザルの中に賞賛に値する特性が現れている。つまり彼は将来を考えずに、愚行や放蕩によって過ごすような主権者ではなく、来たるべき時代にいかなる事件が起きるかを知ろうとして、未来を思いめぐらしたのである。そしてその目的は疑いもなく現在をいかに改善すべきかを知るためであった。であるから神は彼にこの夢を与えられたのである。すなわちこれは王に対する神の恩恵のしるしとして見るべきである。なぜならば、この夢を通して示された真理は、神の栄とその当時および各時代を通じて神の民の福利の為になる多くの啓示を含んでいたからからである。そして神は彼らのために働かれようとされていたが、彼らは神の御目には地上の最大の王や主権者よりもはるかに尊かったのである。彼らがもしバビロンにいなかったのなら、王は決して自分の夢の解き明かしどころか、おそらく夢すら与えられなかったであろう。そのような恩恵はその源をさかのぼれば、それが誰に与えられたものであっても、神がその民に与えられる賢明な考えに基づくものであるという事を発見できるのである。この事件に関する神の御業は実に広大である。すなわち王の夢をダニエルに現すという一つの御業によって、神は次の諸目的を達成なさったのであった。1.神は王にその望むところを知らされた。2.神はご自身に信頼した僕らを救われた。3.神は驚くべき方法によって、カルデヤの国民の前に真の神の知識を与えられた。4.神は魔術師たちの欺瞞をあばき、これを辱められた。5.そして神はご自身の御名を高め、その僕らの目の前に上げられた。

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