ダニエル書講解

132「終末時代と再臨使命の宣布」

なおこの黙示録第10章の事件の年代は、この天使が同14章に現われる第一の天使と同一のものであるとう事実により、一層確認されるのである。この二天使が同一のものである事は容易に判別し得るところである。すなわち1.両者共に宣布するべき特別の使命をに…

171「東洋の病人」

「しかし東と北からの知らせが彼を驚かし、彼は多くの人を滅ぼし絶やそうと、大いなる怒りをもって出て行きます。」ダニエル11:44 本節の預言の全部の成就は未来に属するもののようである。「東・・・からの知らせ」はヨハネ黙示録16章のユウラテ川の水が枯…

170「エジプトトルコに貢を納む」

「彼は金銀の財宝と、エジプトのすべての宝物を支配し、リビヤびと、エチオピヤびとは、彼のあとに従います。」ダニエル11:43 本節の説明について歴史は次の事実を記録している。フランスがエジプトから追放された時トルコがかわってこれを領した。トルコの…

169「フランス軍の惨敗」

「彼は国々にその手を伸ばし、エジプトの地も免れません。」ダニエル11:42 フランス軍がエジプトに退去するや、トルコの艦隊は一万八千の兵をアブーキルに上陸させた。ここにおいてナポレオンは直ちに攻撃を開始しトルコ軍を打ち破り、再びエジプトにおける…

168「トルコ軍の追撃」

「彼はまた麗しい国にはいります。また彼によって、多くの者が滅ぼされます。しかし、エドム、モアブ、アンモンびとらのうちのおもな者は、彼の手から救われましょう。」ダニエル11:41 フランス軍はセント・ジャン・ダーカー包囲中に戦死者と病死者とを合わ…

167「ナポレオンの敗北」

「みなぎりあふれ、通り過ぎるでしょう。」と。我等は「南の王は・・・戦う」ことと、「北の王は、・・・つむじ風のように彼を攻め」るという預言の成就した驚くべき事件を学んだ。そして勝ち誇ったトルコ軍は勢いに乗じてフランスよりパレスチナの南方およ…

166「セント・ジャン・ダーカーの総攻撃」

セント・ジャン・ダーカーの包囲攻撃は3月18日より開始された。「ナポレオンが10日間ほとんど間断なくジャン・ダーカーを攻撃した時、トルコの大部隊が近づいたことがわかった。その大軍は三万におよび中一万二千は最も残忍にまた世界中で最も訓練を受…

165「フランスとトルコの戦争」

しかしこの時にあたりナポレオンの形勢は危険になってきた。それは彼が本国との間に唯一の交通機関と頼んでいたフランス国艦隊が、アブーキル湾において英将ネルソンのために撃破されたからである。またトルコの君主はフランスに対して猜疑の念をいだき、ま…

164「ナポレオンのエジプト遠征」

さて、1260年の終局を画した法王権の没落と、35節に示された「終わりの時」の開始はローマがフランスの大将バーシエーの手によって陥落した時すなわち1798年2月10日であった。同年3月5日ナポレオンは督政官よりエジプト遠征の命を受け、5月3日パリを出発し、…

163「フランスとエジプトおよびトルコの三角関係」part2

・・・また歴史家は次のように言っている。「彼(ナポレオン)が非常な勢いで彼等(マメルク)を追放した理由は彼等がフランスを虐待することを止めなかったからである」と。(Id.P.273.) 1798年の初期、フランスはイギリスに対して大いなる計画をたててい…

162「フランスとエジプトおよびトルコの三角関係」part1

「終りの時になって、南の王は彼と戦います。北の王は、戦車と騎兵と、多くの船をもって、つむじ風のように彼を攻め、国々にはいっていって、みなぎりあふれ、通り過ぎるでしょう。」ダニエル11:40 「南の王」と「北の王」のことはながらく途切れていたが、…

161「貴族制度の廃止」

本節の預言がフランスを指していることを最も明瞭に物語っているのは、39節の末の句すなわち「賞与として土地を分け与えるでしょう」との言葉である。元来フランスは革命前までは極めて少数の大地主が広大な土地を所有し、相続人も債権者もこれを割譲するこ…

 160「ナポレオン皇帝」

「彼はこれらの者の代りに、要害の神をあがめ、金、銀、宝石、および宝物をもって、その先祖たちの知らなかった神をあがめ、異邦の神の助けによって、最も強固な城にむかって、事をなすでしょう。そして彼を認める者には、栄誉を増し与え、これに多くの人を…

159「結婚制度の蹂躙」4

1794年理性の礼拝を始めた当時の模様について、歴史家は次のように記録している。「ショウメットは空色の顔をした一婦人の手を引いて議事堂に入り、『諸君、人間の恐怖心が創造した神の力ない恐怖を恐れることを止めよ。いまより理性以外の神を信じる事なか…

158「結婚制度の蹂躙」3

フランスを無神国にしようとした努力は、為政家が自己の手中にある政権が奪い去られる事を恐れたほど国内を乱し、また無政府状態とした。であるから為政家は自己の権力を維持させようとするには、何か崇拝するものを提供する必要があることを認めた。しかし…

157「結婚制度の蹂躙」2

「いかなる神をも顧みないでしょう。」その当時同国が無神論を主張した事はすでに証したが、この他にも次のような不敬な言葉が記録されている。「神を畏れることは知恵の根本ではなく馬鹿の根本である。貞節とは清き肉体の発明にすぎない。天帝すなわちユダ…

156「結婚制度の蹂躙」1

「彼はその先祖の神々を顧みず、また婦人の好む者も、いかなる神をも顧みないでしょう。彼はすべてにまさって、自分を大いなる者とするからです。」ダニエル11:37 ここにある「婦人」という文字のヘブル語はまた「妻」とも訳すべき語である。監督ニュートン…

155「フランス革命」

「この王は、その心のままに事をおこない、すべての神を越えて、自分を高くし、自分を大いにし、神々の神たる者にむかって、驚くべき事を語り、憤りのやむ時まで栄えるでしょう。これは定められた事が成就するからです。」ダニエル11:36 ここに紹介された王…

154「終わりの時」

「また賢い者のうちのある者は、終りの時まで、自分を練り、清め、白くするために倒れるでしょう。終りはなお定まった時の来るまでこないからです。」ダニエル11:35 多少妨げられたが、迫害の精神は中々撲滅されず、機会ある度毎に暴威をたくましくした。こ…

153「ルターの宗教改革」

「その倒れるとき、彼らは少しの助けを獲ます。また多くの人が、巧言をもって彼らにくみするでしょう。」―11:34 ヨハネ黙示録12:15,16にも同じくカトリックが神の民を迫害する事が記されている。「へびは女の後に水を川のように、口から吐き出して、…

152「1260年の暗黒時代」

「民のうちの賢い人々は、多くの人を悟りに至らせます。それでも、彼らはしばらくの間、やいばにかかり、火に焼かれ、捕われ、かすめられなどして倒れます。」ダニエル11:33 真理に服従し、人々に正義を伝えようと努力している者に対して、法王の加えた迫害…

151「善戦したワルデンセス」

「彼は契約を破る者どもを、巧言をもってそそのかし、そむかせるが、自分の神を知る民は、堅く立って事を行います。」ダニエル11:32 契約すなわち聖書を蔑視し、ローマ法王の訓令および同教会会議の決議を神の言葉よりも重んじる者を、法王は巧言をもって籠…

150「ローマの包囲」

さて、ヂャスチニヤンの命令は直ちに実行することはできなかった。なぜならばローマとイタリーは、ヂャスチニヤンおよび法王の宗教に反対するエリヤン派(アリウス派)の信仰を持つ東ゴートの領土であったからである。であるから法王が彼に与えられた権力を…

149「荒らす憎むべき者が立つ」

「荒らす憎むべき者が立つ」とは法王権のことであるが、これはいつ頃立てられたのであろうか。人の目のような目を持った小さな角が、自己の発展すべき道を開いたことを見るのは難しいことではない。紀元508年より彼の世界的最上権を得るまでの進歩は実に非常…

148「コンスタンチノープルの革命」

以上は西ローマにおける状況であったが、その頃東ローマはいかなる状態であったろうか。なお当時全国にわたった勢力ある法王党が起こっていた。コンスタンチノープルにおける同党員は西ローマにおける同僚の成功に刺激され、ローマにある党主のために公然と…

147「カトリックが至上権を掌握するまで」

「彼から軍勢が起って、神殿と城郭を汚し、常供の燔祭を取り除き、荒す憎むべきものを立てるでしょう。」ダニエル11:31 本節の研究に入る前に、ローマとその分裂後の十カ国は法王権およびその働きと密接な関係を有するために、両者は預言においてあたかも一…

146「カルタゴの戦い」

「それはキッテムの船が、彼に立ち向かって来るので、彼は脅かされて帰り、聖なる契約に対して憤り、事を行うでしょう。彼は帰っていって、聖なる契約を捨てる者を顧み用いるでしょう。」ダニエル11:30 預言の物語はなおも16節よりその主題である国、すなわ…

145「ローマの衰微」

「定まった時になって、彼はまた南に討ち入ります。しかし、この時は前の時のようではありません。」ダニエル11:29 「定まった時」とは24節に記された預言の「一時」であろう。それはすでに述べたように西暦紀元330年に終わった。そしてその時、この権力は帰…

144「エルサレムの滅亡」

エジプト征服後ローマのなした大事業はユダヤ遠征とエルサレム占領であった。「聖なる契約」とは疑いもなく神が各時代を通じ神の民と結ばれた各種の契約である。ユダヤ人はキリストを拒否したために、預言者の声に聞き従わない者は全て断たれなければならな…

143「シーザーの凱旋とクレオパトラの自殺」

「彼は大いなる財宝をもって、自分の国に帰るでしょう。しかし、彼の心は聖なる契約にそむき、ほしいままに事をなして、自分の国に帰ります。」ダニエル11:28 ここにシーザーが外国を征服して二回凱旋したことが示されている。第一回は26,27両節に記さ…