122 「70人訳聖書の翻訳」

 

 次節の研究に移る前にこの時代に起こった最も重大でまた暗黒を照らした一大事件に読者の注意を促したいと思う。工夫に限りある人間が手段方法に限りない神の摂理を窺うとき、実におどろかざるをえない。ユダヤ人がエジプトに逃れた時、神はそこにいる彼等を利用してご自身の栄えを現された。
 アレキサンドリヤ市に図書館を創設したのはトレミー・フィラデルフォスであった。また旧約聖書ギリシャ語に翻訳する事を奨励したのも彼であった。これが本書にしばしば紹介した70人訳聖書である。このようにして約束されたメシヤに関する預言はキリストの生誕前約300年頃に世界的な国語に翻訳されたのである。まさに世界はギリシャの哲学に陶酔しようとしていた時、神は生命の言葉を彼らの国語で与えることにより言い逃れることのできないようにされた。悪魔は陰謀を企てるであろう。あるいは地上における彼の代表者がいかに賢明であっても、真理に対しては何事もなすことはできない。かえって彼等はその事によって真理の発展を助長するに過ぎないのである。多神教の暗黒な翼がますます拡大して全世界をおおい、出来れば天の光をことごとく遮断しようとしている時に、神の言葉はあたかも日輪のように暗黒の中に耀き、各時代の希望なる来臨をつたえつつあったのである。
 70人訳が旧約聖書の翻訳中重要なものであることは多言を要しないが、かつてジョン・ピヤソン氏が「七十人訳は有用でありまた必要である」といっていることからもその一端を窺い知ることができるのである。ちなみにこれは前述のように紀元前3世紀ころにアレキサンドリヤにおいてギリシャ語を語るユダヤ人のためにヘブル語から翻訳されたものである。伝えることによると、当時律法およびギリシャ語に通じる碩学72人を選んでその翻訳にあたらせたのが、このように唱えるゆえんである。


http://www.sda1888.com/



 ブログ村ランキングに参加しております。
もしよろしかったら、クリックお願いいたします。

 ↓↓↓  

にほんブログ村 哲学・思想ブログ プロテスタントへ
にほんブログ村