ダニエル書講解12 「王の見た夢」


 「王よ、あなたは一つの大いなる像が、あなたの前に立っているのを見られました。その像は大きく、非常に光り輝いて、恐ろしい外観をもっていました。その像の頭は純金、胸と両腕とは銀、腹と、ももとは青銅、すねは鉄、足の一部は鉄、一部は粘土です。あなたが見ておられたとき、一つの石が人手によらずに切り出されて、その像の鉄と粘土との足を撃ち、これを砕きました。こうして鉄と、粘土と、青銅と、銀と、金とはみな共に砕けて、夏の打ち場のもみがらのようになり、風に吹き払われて、あとかたもなくなりました。ところがその像を撃った石は、大きな山となって全地に満ちました。」ダニエル2:31〜35
 カルデヤの宗教を奉じていたネブカデネザルは偶像崇拝者であった。であるから像はすぐに彼の注意をひき、尊敬の念を起こさせたのであった。この様に神がこの像を用いられたのは、後で述べるようにこの像が地上の国々を代表していたので、王にとって実に興味深いものであるということを知っておられたからでもあった。しかし、真の神の知識に乏しかった王は、いかなる方法で地上の国々とその富や栄光を示されても、真理の光に照らして評価する準備ができていなかったので、神は偶像崇拝者である王の尊敬し敬慕しそうな巨像をもって国々の将来を示されたのであった。しかし真の神の崇拝者であるダニエルは、真理の光によってその心の眼が開かれていたので、彼の見解は王とは非常な相違があった。つまりダニエルは、神の恩恵と是認とを受けていない、いわゆる栄光と偉大さを真理の光に照らして看破できたのであった。であるから神はダニエルには、この後(七章)これと同じ地の諸国を残酷極まる凶暴な獣によって示しているのである。
 しかしながらこの表示は、ネブカデネザルの心に必要な真理を伝えるためには、実に相応しいものであった。神はその民のために各時代における諸事件を詳細に描写されただけでなく、ネブカデネザルに地の栄光が全く無価値で空虚なものであるということを示されたのである。そしてこの事を印象深くする為に一つの像―それは最も価値のある金をもって始まり、徐々に低下してついに最も劣等な鉄と粘土との混合物となって、全体が微塵に砕かれ、まるでもみ殻のように吹き飛ばされて跡形もなくなり、その後永遠に存続する価値のある天からのものがその場所を占めるという―を示すこと以上に良い方法があるであろうか。このように神は人の子に地上の国々が過ぎ去るべきものであり、また地上の栄光と偉大さはまるで艶やかな泡沫のように消え去るものであるということ、また神の国は地上の国々の後に建設され、その国は終わることなく、またそこに住む者は永遠に平和に満ちた翼の陰に憩う事などをしめされたのである。


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