ダニエル書講解13 「夢の解き明かし」


 「これがその夢です。今わたしたちはその解き明かしを、王の前に申しあげましょう。王よ、あなたは諸王の王であって、天の神はあなたに国と力と勢いと栄えとを賜い、また人の子ら、野の獣、空の鳥はどこにいるものでも、皆これをあなたの手に与えて、ことごとく治めさせられました。あなたはあの金の頭です。」ダニエル2:36〜38

 ここに人類歴史中のもっとも卓越した1章が開かれている。黙示されたわずか8節のの記録の中に物語全部がなされているのである。しかもこの物語は世界の栄華と権力との全歴史を包含しているのである。これを暗唱するには数分間で十分である。しかしそれは二十数世紀前に始まり、国々の盛衰興亡を現し、我らの時代を過ぎて永遠の国にまで及んでいるのである。それはこれらのすべてを包括しているほど複雑であるが、その当時より現代を過ぎ、未来にいたるまでの国々に起こる大事件のあらすじを的確に示している。人知はいまだかつてこのような簡単な記録の中にこのような込み入った事件を包含させた事がない。人間の言葉はかつて数語中にこのような一大歴史の真理を包含させたことがない。ここにも神の聖なる御手が現れているのである。あなたはこの教訓を無視してはならない。
 王は預言者から王すなわちあなたの国があなたの見た巨像の金の頭であると言われた時、いかなる興味と驚異とをもって傾聴したことであろう。古代の王達は成功に対して感謝の念が厚かったので、隆盛を極めた時、彼らはその守護神に対して最も貴重な宝を捧げ、また最高の礼拝を捧げた。ダニエルは王にむかって、この場合これらのすべては天の神に捧げるべきものであることを知らせた。すなわち王に国を与えてすべての者を統治させたまいつつある者は天の神であることを知らせたのである。これは、王が自分の能力と知恵によって今の地位に達したのであると考えておごり高ぶることをふせぎ、また彼によって真の神に感謝させるに至ったのである。
 ついにこの大いなる預言の像の金の頭となったバビロンは、紀元前2千余年にノアのひ孫ニムロデによって創設された。創世記10章の8〜10節に「クシの子はニムロデであって、このニムロデは世の権力者となった最初の人である。 彼は主の前に力ある狩猟者であった。これから『主の前に力ある狩猟者ニムロデのごとし』ということわざが起った。彼の国は最初シナルの地にあるバベル(英訳バビロン)、エレク、アカデ、カルネであった。」またニムロデは後年アッシリアの首都となったニネベの町を建設した。
 今まで、考古学によって古代史上に多くの光が与えられた。宮殿、寺院、塔、城壁、石像、図書館、記念碑、陶器製の扁額、その他多くの材料が数千年の間砂漠の中に保存されていたが、バビロンおよびエジプトにおいてはことにそうである。これらのすべての記念品は驚くべき古代文明の真相を語り、また聖書記事が誤りないことを益々力強く立証しつつある。聖書は世界最初の強国が、このシナルの平原(バビロニヤ)地方に起こると紹介している。


ブログ村ランキングに参加しています。
もしよろしかったら、クリックお願いいたします。

 ↓↓↓  

にほんブログ村 哲学・思想ブログ プロテスタントへ
にほんブログ村