第3章 「国家と宗教」


 金の像の建立

 「ネブカデネザル王は一つの金の像を造った。その高さは六十キュビト、その幅は六キュビトで、彼はこれをバビロン州のドラの平野に立てた。」ダニエル書3:1
 
 この像は前章で記された王の夢とは何らかの関係があるに違いない。アッシアーの年代表によればこの像は前章の事件より二十三年後に建立されたものである。前章の巨像は頭が純金でバビロン帝国を象徴しており、その次に順次劣った銀、銅、鉄の国々が起こるはずであった。ネブカデネザル王はバビロンが金によって象徴された事については、無論異議はなかったはずである。しかし他の国によって転覆されるということは、あまり愉快なことではなかったであろう。であるから、ただ像の頭を純金にするばかりでなく、全身純金の像を造ったのであった。これは頭の金が全身におよび、言い換えるならば彼の国は他の国によって転覆されることなく、永遠の命に至ることを希望したものであった。そして最低に見積もっても90フィート(約27m)という高さは多分像の高さではなく、台も加わっていたのであろう。また像そのものも内部まで純金で充実していたわけでなく、比較的薄い金の板金ではっていたのかもしれない。そうすれば外観の美を傷つける事なしに無駄な費用を節約することができるわけである。

 金の像の除幕式

 「そしてネブカデネザル王は、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちを召し集め、ネブカデネザル王の立てたこの像の落成式に臨ませようとした。そこで、総督、長官、知事、参議、庫官、法官、高僧および諸州の官吏たちは、ネブカデネザル王の立てた像の落成式に臨み、そのネブカデネザルの立てた像の前に立った。時に伝令者は大声に呼ばわって言った、「諸民、諸族、諸国語の者よ、あなたがたにこう命じられる。角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞く時は、ひれ伏してネブカデネザル王の立てた金の像を拝まなければならない。だれでもひれ伏して拝まない者は、ただちに火の燃える炉の中に投げ込まれる」と。そこで民らはみな、角笛、横笛、琴、三角琴、立琴、風笛などの、もろもろの楽器の音を聞くや、諸民、諸族、諸国語の者たちはみな、ひれ伏して、ネブカデネザル王の立てた金の像を拝んだ。」ダニエル書3:2〜7

 この像の除幕式は実に盛大に挙行され、バビロン全州の長官はことごとく臨席していた。「この重大な日に、悪の勢力は大いなる勝利を収めたように思われた。そして金の像の礼拝は、国教として承認された既成の偶像礼拝の儀式と永久に結びつけられる可能性が十分にあったのである。サタンはこのようにして、イスラエルの捕虜をバビロンに置いて、あらゆる異教の国々に祝福を与えようとする、神のみこころを挫折させようとしたのである。」(国と指導者上41章)やがて礼拝は楽器の合図でなされた。しかしこれに与らない者はだれであろうと火の燃える炉の中に投げ込まれるはずであった。

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