70 第8章 雄羊と雄山羊および小さい角


何故幻か

 読者は、ダニエル書の中にはなぜ夢や幻がこのように頻繁に記載されているのであろうかと不審に思われるであろう。しかしダニエル書に記録された夢や幻は決して普通一般の夢や幻ではない。それは生ける真の神が夢や幻を用いて将来起こるべき事件を人類に啓示し、人類にその事件に備えさせる為である。神はまたこれらの幻によって預言された事件の大部分が成就している現代に生存する我らに、歴史を研究する事を望まれるのである。なぜなら歴史は神の御言が正確である事を保証しているからである。神は間もなく地上に起ころうとしている重大な事件を預言された。そして我らがもし未来を知り得るならば、その事件のために準備をすることができるのである。
 実に現代は全世界が動揺している時代である。戦乱、飢饉、疫病、ストライキ、また天災地変などは人の心を極度に不安にさせつつある。であるから多くの人々は恐れつつ来らんとする事を待ち悩んでいる有様である。であるから神はこれらの戦慄すべき状態が出現する事を予告されただけでなく、いかにしてこの不安極まる人生を安全に通過し、またいかにして未来の平和と幸福を獲得し得るかを教えられた。であるから忠実に聖書を研究し、果たして聖書が真理であるか否かを探究しようではないか。このようにする者は必ず神の建てられた永遠の王国においてダニエルと会い、彼から永遠の王国に至る道が明らかにされた事を感謝するようになるであろう。
 クラーク博士は本章についてこのように言われた。「我等はここにダニエル書中のアラム語の部分を終わり、再びヘブル語の部分に立ち戻ったのである。すなわち第2章の4節から第7章の終わりまでは、歴史からも預言上からも共にカルデヤ人が中心となっていたから全部カルデヤ語すなわちアラム語で記されたのである。であるから以下の預言はカルデヤ帝国以後に関する預言であり、また主として教会および神の民に関するものであるので、ヘブル語で記されている。すなわちヘブル語はその当時神が新約時代に特に関係のある事件を神の民に啓示するために用いられた国語であったのである。」

もしよろしかったら、クリックお願いいたします。

 ↓↓↓  

にほんブログ村 哲学・思想ブログ プロテスタントへ
にほんブログ村