72「二つの角のある雄羊」

 「わたしが目をあげて見ると、川の岸に一匹の雄羊が立っていた。これに二つの角があって、その角は共に長かったが、一つの角は他の角よりも長かった。その長いのは後に伸びたのである。わたしが見ていると、その雄羊は、西、北、南にむかって突撃したが、これに当ることのできる獣は一匹もなく、またその手から救い出すことのできるものもなかった。これはその心のままにふるまい、みずから高ぶっていた。」ダニエル8:3,4

 この象徴の解明は、20節に、「あなたが見た、あの二つの角のある雄羊は、メデアとペルシャの王です」と極めて明白に示されている。ゆえに我等はこの象徴がいかによくメデアとペルシアによって成就したかを考察すればよいのである。すなわち、二つの角は同国が2人種によって構成されていたことを意味するのである。そして「その長いのは後に伸びたのである」とはペルシアの事で、彼らは最初は単にメデアのとの連合軍にすぎなかったけれども、ついに彼らはその覇権を握るにいたった事をいうのである。雄羊が突撃した方角は、メド・ペルシアが征服した方向を示すものであり、神の摂理によって同国が全盛時代に達した時には、向かう敵なく、彼に敵し得る国はなかったのである。このようにしてメド・ペルシアの遠征は効を奏し、アハシュエロス王の時代にはインドよりエチオピアまで127州を治め、その勢力は当時知られていた全世界に及んでいたのであった。であるから「これはその心のままにふるまい、みずから高ぶっていた」との預言は、歴史の実際を的確に描写しているのである。

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