82第九章 最長期間の預言


七十年の捕囚

 「メデアびとアハシュエロスの子ダリヨスが、カルデヤびとの王となったその元年、 すなわちその治世の第一年に、われダニエルは主が預言者エレミヤに臨んで告げられたその言葉により、エルサレムの荒廃の終るまでに経ねばならぬ年の数は七十年であることを、文書によって悟った。」ダニエル9:1、2
 第八章に記録された幻はベルシャザルの第三年、すなわち紀元前五三八年に与えられたものである。そしてその年はまたダリヨスの第一年であるから、本章に記録された事件は同じ年に起こったのである。であるから第八,九両章の間に経過した期間は一年以内でなければならない。たとえダニエルは全地の中最も繁栄を極めた大帝国の宰相として重大な責任を負い、多忙を極めたとはいえ、彼はより重大な問題すなわち神がその預言者たちに啓示されるみ旨を研究することを怠らなかった。彼はエレミヤの預言によって、神が七十年間その民をバビロンに捕虜とされるという事を悟っていた。この預言者エレミヤ書二十五章十二節および同じく二十九章十節に下記のようにしるしている。
 「主は言われる、七十年の終った後に、わたしはバビロンの王と、その民と、カルデヤびとの地を、その罪のために罰し、永遠の荒れ地とする。・・・主はこう言われる、バビロンで七十年が満ちるならば、わたしはあなたがたを顧み、わたしの約束を果し、あなたがたをこの所に導き帰る」(エレミヤ25:10、29:10)。このことに関する知識が一般に知れ渡っていたこと、およびエレミヤ書が用いられていた事は、早くよりエレミヤは神の霊感を受けた預言者として認められていた事を証しするものである。もしそうでなかったならばエレミヤの書はそんなに早くから集められて広く筆記されていなかったであろう。ダニエルはエレミヤとほとんど同じ時代の人物であったが、エレミヤの書を携えてバビロンに捕虜となった。そしてダニエル自身が大預言者であったけれども、神が他の預言者を通して啓示された事を細心の注意を払って研究するのを怠らなかった。ダニエルは七十年の捕囚が紀元前六百六年に開始したものとしてその期間はまさに終末に近づいていた事を悟っていた。そして神はこの預言の成就の手始めとしてバビロン帝国を転覆されたのである。

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