48「再臨運動の初期」

 この時代における教会にはまさにこのようなはじめの愛がみなぎっていた。キリスト再臨の時が目睫(もくしょう)の間に(目とまつ毛の意)迫ったとの使命が宣伝された当初には、この驚くべきまた限りなく尊い希望が信者たちの心に働いて、兄弟愛と同情とを非常によびさましたのであった。相互間に存在する相違というものは全く忘れられ、利己的精神は完全に取り去られてしまった。大審判者キリストを迎える準備をせよと世界に警告を与えた大運動の急先鋒であったウィリアムミラー氏は、その時代の状態について次のようにいっている。「そこには感情による騒ぎはなく、全ての人が一致団結していた。」なおイー・ジー・ホイト夫人もこのように述べている。「お互い同士間のおける同情の念は深くなった。我々同志は相互の為に熱心に祈った。」また「さあ花婿だ、迎えに出なさい」との使命が与えられた時、この運動に加わっていた者の一人であったヂェー・ヴィ・ハイム氏も下記のように証言している。「この使命の宣伝には全ての者を平伏させるような不思議な力が伴った。暴風のような速力をもって全地を風靡(ふうび)し、いたる所にいと高き神の前にへりくだってその心を深く探る人々が現れた。そしてそれは世の事物に対する執着心を除き、争闘と怨恨とをいやし、過ちを言い表し、また神の前に心から悔い改め、罪の許しを得るために切なる祈りを捧げさせた。」
 そしてこれらは、いわゆる熱狂的なものではなく、言い表すことのできない、歓喜にあふれた状態であった。再臨信徒は諸教会から集められ、「幸福な希望」すなわち再臨の希望の下に一つとなった。彼らの愛は彼らがまさに入ろうとしていた天国に相応しいもので、今までの教会の中で最も兄弟愛の理想に近いものであった。愛は兄弟間における最大の徳であるのでヒラデルヒヤの教会への使命には何らの譴責がないのである。

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