106「偸安的(目先の安楽をむさぼる)平和」


 しかし、世の終末およびキリスト再臨に関する預言は確実に成就しつつある。ハルマゲドンの戦争はまさに切迫し、戦争の風間は高く、しばしば開戦の危急を告げんとすることさえある。過去数十年における大戦争は、神の恩恵によって文明を根底から覆滅(完全に滅びる)するまでにはいたらず終焉した。この日露戦争は史上まれにみる惨劇を演じたが、欧州大戦にいたってはさらにその数十倍の惨禍を巻き起こしたのであった。すなわち各国がこれに使い果たした戦時費総額6760億円、死者1000万人、負傷者は到底数え切れぬほどの多数にのぼっている。しかしこれも近世における他の戦乱と同様に、神の恩恵により終極の破滅をみることなくして終わりをつげた。ベルサイユ会議、国際連盟を始めその他の平和会議は不完全であり、その決定事項や折々締結される不戦条約なども部分的効果しか収めていないが、大局よりみれば神の摂理の下に世界大戦乱の風波は一時抑止されているのであって、前述の諸会議および諸条約は僅かに偸安的平和状態は絶え間なく、世界的敵対行為は常に反覆されて、あらゆる文明を巻き込んで大戦争が惹起されようとする危険は常にはらまれているのである。通商上の争い、人種問題の係争、軍国主義および過激思想の宣伝、反目嫉視、秘密外交政策等は盛んにおこなわれて、世界の平和を脅かすことおびただしきものがある。かくて時には多少の争闘が引き起こされるが、常に見えない力がそれを抑止しつつあるのである。しかし世人はその見えない力の働きを認識しないのである。
 しかしながら最終的な風はある期間だけ抑止されているのであって、平和の一時的偸安状態がいつまでも続くわけではない。平和論者によって千百の議論が戦わされ、様々の平和的施設がなされても、それは決して来たるべき最後の戦乱を根絶してしまう事はできない。なぜなら人間が現在のように利己的である以上、滅亡的な世界的大戦争の危惧を断つことはできないのである。(イザヤ57章19−21節参照)実際思慮に富む人ならば、この人心の動揺状態を見、また列国が時期の大戦に対する恐ろしい科学的準備に汲々とした有様を目撃する時は、前述の事を承認しないわけにはいかないのである。神がかつて預言者ヨエルを通して預言した通り、各国はすきを、つるぎに、かまを、やりに変えつつあるが、これをハルマゲドン大争闘に対する明白な予兆と言わずになんといおう。(ヨエル3:9〜14参照)なおこの事に関しては第16章において詳細に研究することにしよう。
 キリストがかつてその再臨の予兆とそのうわさをあげられたとおり、実に過去の欧州大戦争は人類に対する一大警告であった。(ルカ21章10節)しかし神は御事業の完結するまでは争闘の風を抑止しておられるのである。なぜなら一人の魂はこの世の罪に汚れた王国よりもなお尊いものであるから、神は人々に警告し、一人でも多くの魂を救おうとされているのである。このようにして神の御事業の完成を見るまでは最後の世界的大戦は起こらないのである。

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