144「エルサレムの滅亡」

 エジプト征服後ローマのなした大事業はユダヤ遠征とエルサレム占領であった。「聖なる契約」とは疑いもなく神が各時代を通じ神の民と結ばれた各種の契約である。ユダヤ人はキリストを拒否したために、預言者の声に聞き従わない者は全て断たれなければならないと預言されたように、本国より駆逐されて天下の各国民中に離散させられた。ローマの圧迫を受けたのはユダヤ人もクリスチャンも同じであったが、本節には特にユダヤ攻略の事を示しているのであろう。
 ヴェスパシャン帝の当時、ローマはユダヤを侵し、かつてキリストを拒んだガリラヤ、コラジン、ベッサイダ、カペナウム等の町々を陥れ、その住民を屠り、全く荒廃に帰せた。タイタス(ティトゥス)がエルサレムを囲んだ時文字通り成就した。このようにしてエルサレムは紀元70年ついに陥落した。タイタスは神殿だけは残して自分の手柄にしようとしたが、キリストは「その石一つでもくずされないままで、他の石の上に残ることもなくなるであろう」と預言された。すなわちローマ兵が燃えさしの木をとって同僚の肩に登り、壮麗をきわめた神殿に投げ込んだためにたちまち猛火となった。ユダヤ人並びにタイタスは必至となって消防に尽力したが、その甲斐なく全く烏有に帰してしまった。タイタスは到底鎮火の見込みなしと思ったとき火炎を犯して、黄金の燭台、備えのパンの机、金の布に包まれていた律法の巻物を担いだした。この燭台はその後ヴェスバシャン帝の泰平殿に安置され、またタイタスの凱旋門上にこれを模写した。それは挿絵にみるように今なおローマに現存しているのである。
 エルサレムの包囲は5カ月間継続し、ユダヤ人の殺された者は110万、捕虜となった者9万7千の多数を数えた。エルサレムの城はタイタスがその遺跡をみて「我は神の助けによって戦えり」と叫んだほど堅固なものであった。であるからそこは平にされ、また絶対の荒廃を示す当時の習慣に従って塩を散布した。そして神殿の基礎は後年タレンチヤスルーファス氏によって発掘された。ちなみにこの戦いの全期間は七年でありその間に146万2千人の者がこの惨禍の犠牲になったということである。こうしてこの権力は「事をなし」英訳によれば「勲功を立て」「自分の国に帰ります」という預言を成就したのである。

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