71「新たな幻」


 「われダニエルは先に幻を見たが、後またベルシャザル王の治世の第三年に、一つの幻がわたしに示された。」ダニエル8:1


 聖書が作り話でない事を確証する最も著しい特徴の一つは、聖書記者がその事件と関連した出来事を包み隠すことなくありのままに記録している事である。すなわち本節にはダニエルがこの幻を与えられた時を銘記している。ベルシャザルの第一年は紀元前540年であった。そしてこの幻がダニエルに与えられたのはベルシャザルの第3年であるので、それは紀元前538年であったのである。もしダニエルが想像していたように、彼がバビロンに捕えられたネブカデネザルの第一年すなわち紀元前606年に約20歳であったとするならば、この時彼は約88歳の高齢であったのである。「先に幻を見たが、」とは、彼がベルシャザルの第一年に与えられた第7章の幻を意味しているのは明白の事実である。


スサにおいて与えられる


 「その幻を見たのは、エラム州の首都スサにいた時であって、ウライ川のほとりにおいてであった。」ダニエル8:2


 第1節にはこの幻の与えられた時が示してあったが、第2節にはその場所が示してある。スサはエラム州の首府であった。当時この地方はバビロンに属し、そこにはバビロン王の離宮があった。そしてバビロンの大臣であったダニエルは国務を見るためそこにいたのである。そしてスサの総督アブラダテースはクロスと共同してバビロンに弓をひくに至るために、イザヤ書21章2節の預言に示されたように、エラム州はメデヤ、ペルシャ軍に加担してバビロンを攻撃した。そしてこの時エラム州は、エレミヤ49:39の預言の示すように、さきにバビロンの属国であった当時喪失していた自由と独立権を回復したのであった。

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